うわ、やべえ……。

寝そうだった。



俺は家のベットの上で大袈裟に飛び起きる。

すると、隣の家から階段を上る音が聞こえてきた。

俺はベットの横の窓を開ける。

冷たい夜風と一緒に、隣の家の部屋に梨衣子が入っていく。


「風呂上がりか〜?」


そう窓越しから言うと、ギョッとした顔をして向こうも窓を開ける。


「乙女の部屋を勝手に見ないで!」

「この距離じゃ“見える”んじゃなくて“見なきゃいけない”んだよ」


そう答えると、眉を潜めたままの梨衣子は、もう向こう側にある机につく。

教科書を開いて勉強を始めるかと思えば、机側の家の草太が、無理矢理梨衣子ん家の窓を開ける。


「勉強すんな! 今度は俺が1位をとるんだ!」


とか無謀なこと言い出したと思ったら、梨衣子の部屋に侵入してるし……。


おもしろそ〜!


「ちょっと、勝手に入るな!」


梨衣子は抵抗して、向こう側の窓を閉めようとする。


俺も行っちゃお!


俺は多少にやけながら、梨衣子の部屋の窓に足をかけた。