「姉ちゃん起きてよ!」


ん……。

かすかに聞こえる順の声。


「もう車の準備できてるよ」


順があたしを揺さぶりながら起こす。

久しぶりにベットで寝たあたしは、心地よさに埋もれていた。


そうだ、今日は竜也の……。


昨日の竜也のパパの言葉を思い出す。


気持ち入れ替えなきゃ。

いつまでもこのままじゃダメ。

ちゃんと受け止めよう。


あたしは眠い目をこすりながら、ベットから出て順を部屋から出した。

ボサボサの髪をほどいて、冷たい水で顔を洗う。

下に降りると、あたし分のご飯だけが用意してあった。

急いで食べて、2階へ上がりまた髪をとかして。


そしてクローゼットを開けた。



「やっぱり黒いほうがいいかな……?」


きっと……竜也が死んじゃったことを伝えられる。

あんまり場違いな服装はダメだよね。

無難なのがいいかな、いっそ制服で行っちゃう?


こんなに服で悩んだのは久しぶりだ。

ずっと即決で選んでたから。