「それぞれ違うしおりだから、誰が持ってるのかだいたいでも分かるしね」


「GPSの応用みたいものね」


「竜也、おとんにいろいろ教えてもらってたしな」



「迷子になっても分かるように、役に立ったっていうのもそれだ」


かなめが自分のケータイや、探知器が入ってるなんて全くわからない、細いしおりを触った。



「竜也がいなくても自動的に送られるようになってんだな。……相変わらずスゲェよ」


「……竜也、自分のに付け忘れたのね、探知器。抜けてるんだから……」


さっきまで険しかった顔の口元が、三人共ゆるんでいく。


そして三人共ケータイを持ち、鞄を持ち始めた。



「旧矢部不動産ってことは、矢部たけるが主犯でしょうね」


「そんなに遠くねぇよな!!」


「まだ夕方だし、そんなに暗くないから大丈夫だ!」


三人はbcaysを出て、旧矢部不動産を目指し走った。