それはかなめがずっと持っていた、しおりだった。



「懐かしいな……」


「……それは何?」


何も知らない川岸は、二人に問う。


「……竜也が、誕生日にくれたんだ。4人おそろいとか言って」


「そうなの……」


川岸も竜也の話を聞いて、懐かしんでいるようだった。



「4人お揃いって……。草太君は?」


川岸に聞かれた草太が顔をしかめた。


「……い、ちおう……、持ってるけど……」


「え?」


草太はゆっくりとカバンからしおりを出す。

かなめが覗き込んだそのしおりは、たしかに真ん中に黒い猫がついていた。

かなめは嬉しくて、顔をゆるめる。



「……梨衣子も、持ってたな……」