放送部からお伝えします

「金髪が矢部たける先輩で、坊主が浅野勝人(マサト)な。先輩本当は蘭生だったのにな〜」


「え?」


「いや、たける先輩さ。家金持ちだから金積んで蘭生入るつもりだったらしい」


俺の耳に入ってきた先輩の言葉を疑った。



「それっていけないんじゃ…」


「先輩がそれを自慢してさ、それ聞いた人がチクって不合格。んで一つ下の周東高校に入学。たしか勝人もそこに入学したと思う」


「てことは矢部が周東の卒業生で、浅野は……」


「いや、先輩は勉強についてけなくて中退だって聞いた。勝人はまだいるな」


「歳は?」


「先輩が18、19で勝人が高2だから17かな?」



こんなに詳しく知れるなんて思ってなかった。


「ありがとうございました!」


先輩にありがとうって言ったのは、たぶん初めてだ。

俺はグラウンドを離れて、ケータイで電話した。




プルル...プルル...
ガチャ



確実に、梨衣子に近づいていく。