「な……んで、なんでそんなに頑張るんだよ!?




何度拒否されてもまたやって来て……。しかも頭下げてまで……。プライドないんですか!?」



中学生相手に必死で頭を下げる大人。

誰が見ても、みっともないと思うんだろう。



「……れなかったから」


「え?」


涙声で言った川岸さんの言葉が聞き取れなくて、聞き直す。


「……竜也を……私は……守れなかったから……」


いきなり“竜也”の名前を出した川岸さんを、目を丸くして見た。

川岸さんは下を向いたままだった。



「何も変わらないかもしれない……! だけど……、何もしないより竜也は喜ぶと思って……」



川岸さんは、竜也の何かを知ってるようだった。




「川岸さんは……一体、竜也と何の関係があるんですか……?」


俺は、恐る恐る尋ねた。

すると川岸さんは、メガネをとって、ハンカチで涙を拭いた。

そしてカバンからゆっくりと写真を出して、机に置いた。


ちょっと古びたその写真を、俺に差し出す。




「……!」


俺はすぐに、あることに気づいた。

そして川岸さんは、俺の目を真っ直ぐ見て言う。





「私は……」