『かなめ、川岸さんには会った? 梨衣子の事聞いたんだな』


一回、会ったかって聞いたくせに、俺が返事をする前に話し始める。


なんで知ってるんだ?



『俺、昨日梨衣子のこと聞いてさ。それから考えたんだけど……』


草太が自分をムリに落ち着かせてるのがわかる。




『川岸さんに、協力したいと思う』


はっきりと、そう聞こえた。

俺は今まで同じように反抗してきた草太が、信じられなかった。


は……?


梨衣子の部屋の向こうにある、草太の部屋を見た。

草太の部屋のカーテンで、いつも少しでも見える顔が見えない。



「あ……、っそ」


俺は窓に向かい合って話す。


「別にいいんじゃね? 俺には関係ないし……」


『関係なくない! 俺達、幼なじみじゃん……。小さい頃から一緒にいたじゃん……』



また川岸と同じことを言われるかと思った。



『そりゃ俺だって……。関係ないって思った……。意味ないって思った……。』


「じゃあっ」


『でもっ! 違うんだよ……』


草太は相変わらずの涙声。


「違うって……。あんな興味本位な奴!」


『違う! 川岸さんはそんなんじゃ……』


草太は必死で川岸をかばう。


『川岸さんは……』



そして草太はゆっくり、今日のこと、川岸のことを話し始めた。