「ちょっ痛い!」


順は強引に草太の腕を引っ張っている。


「何なんですか……?」


目の前の梨衣子の親や川岸を見ると、慌てて敬語に直した。

冷たい雰囲気を感じ、ごくりと唾を飲む。



「ごめん、かな兄見つからなかった……」


「かなめ? あれ? 梨衣子は? どうして俺だけ?」


草太は状況を理解できず、ただ問うだけだった。


川岸が梨衣子の両親の代わりに、重い口を開いた。


「梨衣子ちゃんが……いなくなったの……」


「!! ……そう、なんですか……。すぐ帰って来るんじゃないですか? ただの家出かもしれないし……」


草太は一瞬驚いた後、少し動揺しながら口を動かす。

心配している梨衣子の両親を見ながら、少し遠慮がちに話していく。


すると、怒ったように横の順が言う。