あたしは下を向いた。

顔なんて見たくない。

耳も塞ぎたかったけど、怖くてカバンを掴んでたからそれはできなかった。



「見てよこの傷〜。梨衣子ちゃんの彼氏さんに付けられたんだよ??」


男はあたしを坊主頭に預け、金髪の髪を上げ、額の傷を無理矢理見せてきた。


チラっと見えたその傷は、何かで殴られたような、切り傷のようだった。


消えかけてたけど、2年も経ってこの傷だとしたら、付けられたときは結構ヒドかったんだと思う。



「あいつ、思いっきりやったんだぜ? マジありえねー」


「っ! どうせあんた達が先に何かしたんでしょ!?」


あたしは耐え切れなくなって、初めて口を開いた。

竜也が理由もなしに人を傷つけるわけない。



「うるさいなぁ……ホント。とにかく責任とってもらおっか」


「何がっ」


「ちょっと黙っとけ」


そう言って、大きな男があたしに近づいてきた。



ガンッ



お腹に、痛みが感じる。


「っ!」



バタン...



意識がモウロウと消えていく。


コンクリートの地面が目の前にきたあと、視界が真っ暗に消えていった。