俺は2人を見て、こぶしを握りしめた。

勢いよく元に振り返り、いつもより早足で戻る。


自分の部屋に戻っても、まだこぶしのままの手を壁に叩きつけた。



ガッ



「くそっ……!」




悲しい、竜也が死んで。



寂しい、竜也がいなくて。



悔しい、竜也を守れなくて。




――みんなを、守れなくて。




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あの夜から、全然話さなくなった。

2年生になって、3人同じクラスになっても。

みんなを心配させないように、俺達の関係にはなんにも無かったように見せた。


なんとかしたいって思ったけど、竜也の話をする勇気なんて無かった。


そんな空気が俺は耐え切れなくて、陸上部に入って少しでも一緒にいる時間を減らしたかった。


そばにいて、守ってやるって決めたのに。


自分からどんどん離れていってる。



そんな俺が、竜也の代わりになんて


――なれるはず、なくて。