そしてあっという間に午後。


「おばちゃーん! メロンパンとおにぎり、サンドイッチといちごミルク3つー」


身を乗り出して、購買のおばちゃんに話しかける。


「あ、皆の分? いつも仲良いねー」

「だって幼なじみだもん! はいお金」


内心ドキッとしたあたしは、満面の笑みで答える。


「まいどー」


「梨衣子ー。行くぞ部活ー」


レジのチーンという音が鳴ったとき、後ろから来る聞き慣れた足音と低めの声に気づいた。


「あ、はーい」


購買の近くのベンチにいたかなめが、あたしを呼んでいた。

振り向き小走りで駆け寄ると、おばちゃんがニッコリ微笑んでいるのがチラッと見えた。

おばちゃんのまるで“仲良くね”とでも言うような温かい視線は可哀相なくらい無駄に思える。


これもまたいつものように笑い返すと、あたし達を眺めている人を横目で見ながら、放送部室へと急いだ。