俺は精一杯悩んだ。


最初から高等部に行きたいって思ってたけど、本当にそれでいいのか。


めったに会わない親にもちゃんと話したのに。



「なのに柴崎のヤツ、お前には無理だって!」


柴崎とは、生徒指導とか進路担当してる先生で。

俺がもっとも嫌いな教師だ。



「……でも俺、がんばるよ」


俺はとことん前向きだった。

柴崎にも絶対大丈夫って宣言してきたとこだし。



だって、……約束したから。



記念日に、もうひとつ約束したんだ。




一緒に高等部行こうって。



梨衣子や草太には簡単なことだけど、急に偏差値上がる高等部についてくなんて、正直無理だと思った。



そりゃエスカレーターだから、入るのは簡単だ。

だけど俺や竜也の頭じゃ、授業についてくなんて到底出来やしねー。


だけど、瞳をキラキラさせながら微笑み続ける3人に、そんな事言い出せなかった。