「実久さんのいけめん奮闘記」






横の先輩は無言で
大迫くんを凝視しています 。



すぼまった口元が妙に可愛く見えました 。



差し支えのない返事を返す 。




「 大迫くんおはよっ!うん、読んだよ 。
それで起きて学校来たの 」



「 お、おはよう。席替えでさ、
土屋の隣になったからメールしてみた 」



「 大迫くん、寝ちゃう気もするけど…
いいよ仲良くしてあげる 」








「 ねぇ、この人だれ~? 」








わわ 。
先輩空気を読んでっ!!!



だ、大胆です…


言葉がうまく見つからなくて
えっと…と口ごもる 。



あたしがまだスヤスヤしてるときに
クラスは席替えをしてたんだね 。


席替えって一大イベントだと思うの!
ちょっとした運命の分かれ道になるでしょ ?



まあこの席替え結果なら
悪くないかもしれない なんて~ 。



つまり、大迫くんの隣になった と 。
そして、ポカンとする先輩が今いる と 。



こうもいきなり鉢合わせしなくても !



先輩もクラスメイトって、
察さないのはわざとなのかなんなのか 。




「 …あ。じゃー、戻るわ 。
結局あれじゃん 。
その反応は俺と隣になりたかっただろ 」




軽く笑みを見せて大迫くんは
その場を離れていった 。




俺と隣になりたかっただろ





????
ええ?!


大迫くんが好きみたいになってるけど !
彼はツンデレだ そうだ 。












「 土屋ちゃん… 」