自社の上司は自信満々で一部上場企業などと自社を説明するが、完全に廃れた100円ショップだ。

そこが鈴村のバイト先である。

店の前にくる度に

「なんでこんなところのバイトなんかしてるんだろうな」

そんな事を呟きながらいつものように社員用の入り口を開ける。

「おっはよーございまーす!今日も元気に頑張りましょう!ってゆーか頑張るので昼飯おごって斉木さん!」

などと陰鬱な気持ちを吹き飛ばすためにもおちゃらけて見せるも反応はなし。

しかし目の前には、見たこともない少女がいた。

「まてまてまて、なんで中学生が改装期間中の店内にいるんだぁ?ほら、今はレジもストップしてるからなんも買えないよ?さ、出て行こうねー」

鈴村は諭す様に言った。

「おはようございます。あなたが鈴村くんですね。噂は聞いていますよ。就業態度、接客態度、共に最悪。何かを隠す様に明るく振る舞うその姿勢がウザい。童貞。…あとは、年上に対して敬語を使えないことも足しておきます。」


少女はメモを取りながら話した。


あっけにとられている鈴村を無視して少女は続ける。


「あ、はじめまして。今日からあなたの上司になりました。松中です。どうぞよろしく。」

鈴村はパニック気味に返す。

「あ、え、よ、よろしく…」

松中は満面の笑みを一瞬見せたと思えば鬼の形相に変え、言い放った。

「お願いします…は?」