………ここはどこ？

気が付けば少年は不思議な空間にいた。

空は赤紫に染まり、空気は冷めわたっている。

が、そこは少年の通う小学校だった。

目の前には、赤いキャップが浮かんでいる。


少年の父親が所有していた物だ。

少年はこれが夢であることに気が付く。

「お父さん…？なんで透明なの…」

少年はぽつりとつぶやいた。

目の前の透明人間は何も言わずにどこからか出したナイフを光らせた。


少年はハッとなる。

「お父さんじゃない！」

次の瞬間には殺される事を少年でも理解できた。

「やめろ…やめろ！」

少年が叫ぶのが先か少年が逃げるのが先か…

わからないほどに焦りながら少年は走った。


我武者羅に走っていたら、景色が変わった。

走ったから景色が変わったという話ではない。


まったく知らない土地にいたのだ。

近くには川が流れていて、橋があった。

橋の近くには、少女と犬がいた。

久しぶりにあった人間に少年は安心を覚えた。

しかし、安心も一瞬にして崩れ去った。

やはり、後ろからは赤いキャップとナイフが追いかけてくる。


少女の近くに駆け寄り、少年は叫んだ。

「早く逃げないと殺されちゃう！」

少女は一瞬笑みを見せながら

「じゃあ、お姉ちゃんと逃げよう？」

と少年の手を引いて走り出した