「ごめんね?
今日は帰らないと、樹が心配するんだ」


「それなら、送っていく」


あたしが、歩いていると後ろからついてきた。
べつに一人でもいいのに。


「颯ちゃん…。
まだかえってこない?」


「まだや…。
ほんま、なにやってんねん」


「あたし、やっぱり紅蓮の総長は無理だよ」


あたしが、話すとみんな下をむいた。
ごめん…。
弱い人間だよね。


あたしの、愛しい人。
神崎颯太〈カンザキ ソウタ〉
紅蓮の総長。


あたしを守るために、相手に頭を鉄パイプで殴られた。
意識不明の危険な状態だった。
あとは、目を覚ますだけなのに。
一年間目を覚まさなかったら、もう諦めるしかないんだって。