「いえ、行くところがあるんで」

最初は丁寧に断る。
おねぇさんに暴力はいけませんからね。


「やっぱり、カッコいい。
おねぇさん何でも奢るわよ?」

そういいながら、俺の顔をのぞきこんできた。


べつにかっこよくねぇし。
でも、ちゃんと男に見られてる。


「こんな、キレイなおねぇさんに奢らせるわけにはいきません。
それに、俺は用事があるので」


ニコッっと笑って、足早にそこを離れた。
こんな大通りは厄介だな。
そう思って、狭い路地を歩いた。