そうして歩いていると、いつかのあの公園の前を通りかかった。
ちょっと前のことだけど、なんだか懐かしく感じるな~。
そう思っているとき、柊君が突然話し出した。
「あの、雨の日さ、波乃は自分が濡れるのにもかかわらずあの猫たちに傘さしてる姿みてさ、自分のことより猫優先してやって、いいやつなんだなって思った。」
「それを言うなら柊君だよ。自分が濡れちゃうのに、あたしに傘貸してくれたもん。ホントにいい人なんだな、って思ったよ?」
なんか、同じこと考えてたんだなって嬉しくなった。
でも柊君を好きになったのはこの公園で、好きになった理由は紛れもなくこのことで、柊君もそう思ってくれてたらよかったのにな。
なんて、柊の気持ちを知らない波乃は思っていた。