side柊

まだ桜も蕾の、まだ肌寒いころ、
俺はある女に一目惚れした。

当時は名前なんて全然知ら
なかった。だけど、俺の家
の近くに捨てられていた
子猫を毎日のように面倒を
みてやっていた。