「しっかり捕まっとけ。」

「はい。」


拓磨くんが夜道を自転車で走る。家まで送ってくれるらしい…




「あの…ありがとうございます。」

「礼を言われるようなこと、してねぇよ?」




「いえ。だって…私なんかを見つけてくれたじゃないですか。」



「私なんかとか、言うな。」

え?




「私なんかとかお前に似合わない。七奈美はちゃんと一人の女の子だよ。」






…初めてだった。今までそんなこと言われたことなかった。







「もう…。何回…泣かせる…つもりなんですか?」



「げ!?俺、泣かせるようなこと言った!?」





私は首を横にふる。
「嬉し涙です。」