…拓磨くん!


なんと、そこにいたのは…あの、王子
拓磨くん…







「拓磨くん、なんでここに?」

「ん?たまたま?」




笑いながら答える拓磨くん。

いや、たまたまじゃないでしょ。




拓磨くんの家反対方向じゃん。

「なあ、家族、いねぇの?」



拓磨くんが聞いてきた。


「お母さんは、仕事で夜遅くまで帰らないし、お父さんは単身赴任中。」




今まで穂波にしか話さなかったこと。


でも、何となく口からついてでた、って感じ。





拓磨くんのことがなんだか信じられる…

「そっか。寂しくねぇの?」



「ん~、いてもいなくてもあんま、変わんない…です。」





あれ?私、拓磨くんとはアガらないで喋れてる?…どうしてかな?





「それって、どういう意味?」




「お母さん、小学五年生ぐらいの頃から、なんか冷たくって。お父さんの電話は、一年に二、三回あるかどうかだし。」




「……。寂しいんだろ?ホントは。」




「え?」