あの人。
「あっ」
おもわず声をもらした私はあわてて口を手でふさぐ。
それもむなしくあの人は気づいてしまった。
先輩の黄色い声じゃなく、私に。
ゆっくりと近づいてくる、その姿がまぶしくて。
夕日のせいかな?
いや、違う。
それだけかっこいいんだ。
「朝の子?」
そう聞かれた。
「あっ、はい」
控えめな私。
「ありがとうな」
笑うと口角があがる。
その笑顔、反則です。
「い、いえっ」
緊張して、つまらない返事しかできない。
名前を聞こうか聞かないか迷っていると、
「じゃ」と言って去ってしまった。
――――――
