「入って。」

優翔の家はよくあるような
普通のアパートだった。

「お邪魔します。」

そう言ってリビングへ行って
ソファーへと腰掛けると
優翔はあったかいココアを
出してくれた。

そして、優翔もあたしの隣へと
腰掛けた。


「あたしね、弱かったんだ。
昔からあたし、近所の人とか
学校の友だちとかから
両親は離婚したあげく、母親は
男にだらしなくて愛されていない
可哀想な子。っていう目で見られてたの。」

そう。あたしが何よりも嫌な
冷めきったあの同情の目。


「その目があたしは一番嫌いだった。
可哀想、可哀想ってあたしの何を
知っててそんなこと言ってるんだって。」

悔しかったんだ。