優翔は困ったような
顔をして

「わけわかんねぇよ、
俺、なんかしたか?」

あたしは黙って顔を
横に振る。

「じゃあ、なんでだよ。
なんで、急に俺の前から
いなくなろうとすんだよ。」

優翔は悔しそうな
泣きそうな瞳であたしを
見つめる。

「ごめん、優翔。」

それだけを言って
優翔の横を通りすぎる。

「美結。」

優翔のその言葉に足を
止める。

「お前が俺の前からいなくなろうと
しても、俺はお前から離れねぇからな。」

優翔の顔はどこか
決意に満ちた顔をしていた。

あたしは何も言わず
そこから立ち去った。

優翔…
何も言ってあげられなくて
ごめんね。
嬉しかったよ。
でも、
でもね、優翔には
幸せになってほしいから
あたしなんかに構わないで
幸せになって。