それからしばらく経って
自転車のブレーキと共に
「美結!」と叫ぶ優翔の
声が聞こえた。

あたしが振り向くと
優翔はあたしの方へ
走ってきていた。

「優…翔。」
優翔の姿を見たと同時に
あたしの目からはさっきまで
止まっていた涙がまた
溢れだした。

「美結!」
その声と同時にあたしは
優翔の胸のなかにすっぽりと
包みこまれていた。

「もう大丈夫だから。」

優翔のこの言葉一つで
あたしの心は満たされてしまう。

この人がいればもう
母親に愛されなくてもいいか。

それほどあたしのなかで優翔は
大きな存在になりつつあった。

優翔は泣きじゃくるあたしの
頭をずっと抱き締めながら
撫でてくれていた。