あたしが近づくと母親は
あたしに気づいたかのように
顔をあげた。
その顔はあたしを見るなり
悲しそうな怒りの表情を
浮かべた。
「どうしたの?」
久しぶりに母親にかける言葉。
「…し…じゃないわよ。」
母親が何かを呟く。
いくら嫌いな母親だからと
いって、こんなときに放って
おくことなんてできない。
「え?」
あたしが聞き返すと同時に
「どうしたのじゃないわよ!
あんたのせいよ!あんたがいなきゃ
あんたなんていなかったらあたしの
人生はこんなことにならなかったのに!
なんであんたなんかが生きてんのよ…!」
と母親はあたしを睨み付け
頭を抱えて泣き叫んだ。
あぁ。そうだ。
この人はあたしの事が大嫌い
だったんだ。
知ってたよ。小さい頃から
ずっとあたしはいらない子だった。
邪魔な子だったんだから。
あたしは無意識に家を
飛び出していた。
ひたすら走って走って走って。
何も考えられなくなるくらい
全力で走った。

