彼女はハラハラ時計

「わかった!でも失敗したとしても、ちゃんと、ちゃんと天国でプロポーズしてよね!」

「地獄に堕ちても必ずするさ」

「特科車両隊爆発物処理班、わたくし藍田椎美巡査長は、これより青色リード線を切断します!美吉田警部補には目視での確認をお願いします!」

「了解だ」

「で、ありがとう…みよたん」

「愛してるからな…藍ちゃん」

藍田の震える手に持たれたニッパーが『ブチッ!!!』と音をたて青色リード線を切断した…。

起爆する瞬間に鳴る『カチッ!』と乾いたあの音は聞こえず、タイマーは3秒前で停止していた。

「無事に解体終了みたい」

「ああ、お疲れだったな」

俺達は喜ぶこともなく、ただ仰向けになり地下倉庫の天井を見上げた。疲れていたし、確認したかったのだ。キャリーボムボムの爆弾に勝ったことを。俺の勘と運、そして藍田の愛で…。

「藍ちゃんに聞きたい」

「なに」

「なぜ青色を切断した?危険示唆色だから赤色を切らなかった?」