どうすれば良いのか、心底、誰かに教えてもらいたかった。
メモ紙に書かれていたのは、右上がりに羅列した11個の数字。もしかしたら……否、もしかしなくてもこれは「電話をしろ」ということなのだろう。
初めて聞いた彼の声は、可愛らしい見た目とはウラハラに、想像していたよりも、低く、そして優しく、甘かったような気がする。
一瞬で、しかも「待ってるから」の一言だったけれど、まだ私の頭にふわふわした雲のように残っている。
けれど………コールすることは出来なかった。
私の働いているコンビニで毎週ミルクコーヒーを買って行く、ただそれだけなのだ。
人間性も、名前も、年齢も、何にも知らない人。……私のこと、なんにも知らない人。
でもそれでも、
電話をしなければならないと思った。

