4ヶ月ほど経った頃であろうか。
私とお客の間の、関係と言うほどでもない不思議な繋がりは、急展開を見せた。
「145円になります」
いつものようにマニュアル通りのセリフを吐く私。ここまではたぶん、日常だった。
客はいつもとは打って変わって、妙にそわそわとしているうえに、バツが悪そうに目を泳がせていた。私は奇妙に思って、無意識に彼の顔をじろじろと見つめてしまっていた。
差し出されたお金。持ち上げて取ろうとしたら、かさ、っとするはずのない音がして。
「待ってる、から」
え?――そう言って顔を見上げたときには、時すでに遅く。自動ドアの向こう側には、紺色の背中。
ミルクコーヒーと引き替えに私の手元に残されたのは、
小さく四つ織りにされたメモ紙と、
150円と、
非日常だった。

