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ことり。
まろやかミルクコーヒー145円也。
週に一回、必ず、おんなじ。
パッケージの凝ったカップタイプのミルクコーヒーだけを買って行く"変な"客がいた。
家の近くのコンビニでバイトをしている私。
最初のほうは全く意識していなかったことだけれど、それが数ヵ月にも渡れば、自然とその客のことを覚えてしまっていた。
否、覚えられないのが可笑しいくらいに毎週の出来事だったし、それに。
他にもたくさんのジャンルのドリンクがあって、ミルクコーヒーだって種類はそれだけじゃないのに、
頑なに、"まろやかミルクコーヒー145円"だけを、しかも毎週買って行くなんてどれだけあれを愛しているんだろう。ここまでくるともはや執念だと思った。
もうひとつ。
その客はお金を支払う時、手元には目を落とさず、私の顔をじっと見つめながらお金を出すのだ。
それはもう、異常だとも言える行動だと一時期はびくびくしていた。
その変な客が、他でもない、夕都だった。

