すーっと透き通るような少し肌寒い風。

まだ、少し曇っている空。

小鳥のさえずり。

通学中はいつもこんな感じだ。

私は一人でとぼとぼと学校へ向かった。

すると、後ろから

「あいりー、おはようー!」

親友の里奈ちゃんだ。

「おはよう。」

「ねぇ、あいり聞いてよー。昨日ね、ひろくんが女の人と歩いてた所みちゃったの!
しかも、綺麗な人と!彼女だったらどうしよう!私、死んじゃうよー。」

ひろくんと言うのは天野ひろと。
里奈ちゃんの好きな人で私のクラスメイト。
正直、あいつのどこがいいのか分からない。

「大丈夫だよ。お姉ちゃんじゃない?」

私は恋バナなんて嫌い。

だから、適当に流して教室に向かった。