翌週は、直子がいなかった。


「玲ちゃんさ、好きな子いるの?」


 私の質問に、ピアノの前で鍵盤をたたいていた玲ちゃんが、私を見た。



「香織」



 私は玲ちゃんから目を逸らした。



 この前、マックに行ったとき、玲ちゃんが席を立った時に直子、言ってたんだ。



――玲汰ね、香織のこと好きみたいだよ。