風が吹く中、私はピアノ教室のドアを開けた。 中ではすでに、玲ちゃん――草薙玲汰がピアノを弾いている。 玲ちゃんのピアノの腕は世界が認めるくらいなんだ。 「あ、香織!今日は遅かったね」 玲ちゃんが私に駆け寄ってきた。 私、西川香織。中学二年生です。テニス部に所属してる。