「先生が…悪いんです……。」
「え…?」
いつもの佐藤からは考えられないくらい、重く冷たい声が響く。
「先生がそういうことを軽々しく言ったりするから、傷付く子がたくさんいるんです!」
傷付けてる、か…。
たしかに、この学校に来てから俺の前で何人もの女が泣いた。
告白を断った時。
それは一方的に向けられた想いで、鬱陶しいとすら思っていた。
でも、結局傷付けてることには違わないんだよな…。
断るにしても、もっと言い方があったかもしれない。
「それだけみんな、先生が好きなんです…。」
目に涙を溜めて佐藤は言った。
でもその涙が流れることはない。
「教師に恋しちゃ、いけないんですか…?」
佐藤が真っ赤な目で俺を睨む。
真面目に答えなければいけない。
そして…
自分が禁忌を犯していることは、悟られてはいけない。
俺はゆっくり口を開いた。