振り向くと佐藤がニコニコしながら近づいてきた。
「湊先生、あたし先生のお仕事お手伝いしたいですっ!」
俺は晴と二人になりたかっただけなんだけど。
資料作りも別に急ぎの仕事じゃないが
早く終わる分には困らないし手伝ってくれるならありがたいか…。
「あぁ、じゃあ頼もうかな。」
相手は晴じゃないから、今日は教室で仕事をすることにした。
大量の資料を手に教室に戻ると、佐藤が窓の外を見ながら言った。
「園原さんの用事ってデートみたいですよ?先生。」
………は?
晴は俺のだぞ?
まぁ、そんなこと言えないけど。
「そ、そうか…」
そんなはずないと叫びたい衝動を抑えつつ、佐藤に近付き俺も窓の外に目を向ける。
「ぁ……」
思わず声がもれた。
晴が校門に立っている男に近付く。
男が晴の頭を優しく撫でて
微笑み合うと二人は歩き出した。
誰が見ても幸せそうなカップル。
俺も羨ましくなるくらい………
あれが、晴じゃなければ。

