一人はうちのクラスの相葉杏子。
成績優秀で大人しい子。
もう一人は隣のクラスの子。
名前はたしか、佐藤 純恋(サトウ スミレ)だ。
佐藤はあまり成績がよくなかった気がする。
でも、元気で活発な子だ。
俺は教室に入るのを止めた。
「園原、ちょっといいか?」
廊下から晴を呼ぶと、全員がこっちを向く。
「は、はいっ」
小走りで駆け寄ってくる晴が可愛くて、思わず笑みがこぼれた。
「今度授業で使う資料なんだが、作るの手伝ってくれないか?」
「え、今からですか…?」
「あぁ。」
俺が用件を伝えると晴は困った顔をした。
何か用事でもあるんだろうか。
「すいません、今日は用事があって…」
やっぱり。
「そうか、なら大丈夫だ。気を付けて帰れよ。」
残念…。
せっかく二人で話せると思ったのに。
ちょっと拗ねて職員室に引き返そうとすると、
「湊せーんせっ!」
女の子らしい甘ったるい声で背後から名前を呼ばれた。
それは晴のものじゃない。

