「晴…ごめん…。」
俺は優しく晴の涙を拭った。
「……ん…?」
さっきよりはっきりとした晴の声。
どうやら目が覚めたらしい。
「大丈夫か?…園原。」
「先生…?私……。」
そりゃあ、混乱するよな…。
「倒れたんだよ、体育の途中に。」
「そうですか…。すいません…。」
申し訳なさそうに俯く晴。
元気のないままの晴を、
抱き締めたくなった。
でも、
教師という立場が邪魔をする。
抱き締めたい、でも出来ない。
この場を逃げたくなった、今すぐ…。
「次の授業は休め。じゃあ、俺は授業に戻るから。」
そう言って、保健室を出ようとしたが……
「先生っ……」
晴に手を捕まれて、それは出来なかった。
「行かないで、ください……」
「ぇ……?」
「…………好きです、先生。」