晴はボールを驚いた様子で受け取った。
あいつ…ボーッとし過ぎて試合が始まってんのに気付いてなかったな。
あとでからかってやろうか。
そう思った次の瞬間。
ダンッ…
晴が物凄いスピードで走り出した。
周りの奴らも驚いて固まってる。
必死に止めようとした奴らも、簡単に抜かれて…
数秒で晴はゴールにたどり着いてしまった。
すごい……。
思わず見とれてしまう。
そのまま晴は跳んで。
シュ…
綺麗に弧を描いてボールが網に落ちる。
それを見届けた晴は、満足そうに微笑んだ。
ドキ…
なんて顔するんだよ…。
あんな微笑み…反則だろ。
鼓動がおさまらない。
多分、今顔赤い…。
バレないように、生徒達に背を向けた。
しばらく、歓声が収まらなかったが突然。
「晴っ…!?」
晴の友達…桜井華奈の声が響いた。
なんだ…?

