外は、雨のせいで、いつもより更に寒い。



その寒さが私に冷静さを取り戻させてくれる。



…で。



なんで私は、さっき初めて会ったどこの誰かも分からない男と
相合い傘なんてしてんのかなぁ……。



私、いいって言ってないのに…。
答えを渋っていたら、強引に連れ出されてしまった。



隣に目をやると、男は傘を持ちながらニコニコしてる。



何が楽しいんだろうか…。



「あの、私…園原晴っていいます。」



私が突然名乗ったことに驚いたのか、男が足を止めた。



私は止まるとは思わなくて、傘から出てしまう。



ちょっと濡れちゃったじゃない。
なんなのよ、もう…。



傘の下に戻って
男を見上げると、目が合った。



ち、近い……。



性格は気に入らなくとも、イケメン。
私の胸は簡単に高鳴る。



あぁ、顔が熱い…。
赤くなってるかも…。



すると男はニヤリと笑った。



「顔、赤いよ?可愛いねぇ。」



なっ!?
こいつ………。



ムカつく!



私は男から傘を奪い取り、歩き出す。



コンビニはもう目の前だ。
走ればそんなに濡れないだろう。



「あっ…おい!」



男が何か話していたけど



それを無視して私は自宅へ向かった。