「はい、じゃあ座れー。出席とるぞー。」
あー、なんで…。
「今日は体育の先生が出張ということで、俺が監督だ。
バスケかドッジボールって言われたんだけど、どっちがいい？」
なんで、いつもこの人なの…。
「湊先生バスケできますかぁ？」
「おぅ！俺、実は中高ってバスケ部だったからな！」
「かっこいぃー！バスケがいーでーす！」
「湊先生バスケ教えてー！」
ｷｬｰｷｬｰと女の子達から黄色い声を浴びているのは、
もちろん春川先生。
出来るだけ意識しないように。
早く授業が終わるのを祈るばかりだ。
多数決で今日の体育はバスケに決まった。
球技は嫌いじゃない。
むしろ大好き。
中学の時バスケ部だった。
高校は、勉強のせいで部活どころじゃないけど。
でも、今日はあんまり動きたくないな…。
だるい…。
「晴っ！」
え………？
飛んできたパスに驚く。
試合が始まってるの気付かなかった…。
でも、元バスケ部。
反射的に足が動く。
