《夕陽の綺麗な病室で−湊side−》



大学2年生の俺は、教師になる勉強をしていた。



別に、教師になりたかったわけじゃない。



安定した職に就きたかっただけ。



子供が好きだったから教師でいっか…そんな気持ちだった。



ある日、サッカーをしていた親友が足を骨折して入院した。



よく晴れた土曜日の午後。
俺はそいつの見舞いに行った。



15時くらいだったと思う。



だけど雑談に花が咲いてしまい、気付けば夕方。



空も赤く染まってきている。



「じゃ、俺そろそろ帰るな。お大事に。」



親友にそう告げて、病室を出た。



帰る途中、1番奥の病室から強く夕陽がさしていて何気なくその病室を覗いたんだ。



そこにいたのは、一人の少年。



見た感じ、中学生だろうか。



「なぁ、入ってもいい?」



その横顔が切なくて、思わず声をかけた。