ザアァァァァァァ…



物凄い雨音に手を止めて窓に近付く。



いつの間にかどしゃ降りになっていた。



置き傘、あったかなぁ…。



手早く仕事を終わらせて、私は教室を出た。



先生に終わらせた仕事を預け、昇降口へ向かう。



〜♪〜♪〜♪



鼻歌……?



男の人の、よく通る声が静かな校舎に響く。
綺麗な声……だけど。



ここ、女子校なのに…。



恐る恐る昇降口を覗くと、やはり男の人がいた。



後ろ姿だけど、若いことが分かる。
私服だ…。20代前半くらいだろうか…。



男について、いろいろ推測していると



「おっ、ラッキー傘余ってんじゃん。借りちゃお〜♪」



突然男がそう言って立ち上がった。



その手には、私の置き傘。



私、帰れなくなっちゃうじゃん…!



「あ、あの!」



外が暗くなり始めてるのに、濡れて帰るのなんてごめんだ。



私は思いきって声をかけた。



「ん…?」



ゆっくり男が振り向く。



ドキ……



初めて男の人を、綺麗だと思った…。