でも、会話の内容からして先生は告白を断ったらしい。
「俺は、教師だ。生徒に手ぇ出すなんて許されないんだよ。それに…」
春川先生の落ち着いた声が響く。
「俺はお前だけじゃなく…みんな、生徒としてしか見てない。」
ズキ……
心が…痛い……。
それはつまり、私もただの生徒なわけで。
「わかりました…。あたしの気持ち、聞いてくれてありがとうございました。」
やばい、二人が教室を出てきちゃう!
私はバレないように身を屈めたまま、走った。
今更、なんで居合わせた時すぐにそうしなかったのかと思う。
本当は、知りたかったのかもしれない。
先生がどう答えるのか。
あんな可愛い子に迫られて、なんて言うのか。
でも、考えてみれば当たり前の答えだと思う。
先生と生徒の恋は、許される事じゃない…。
苦しい…。苦しい…。苦しい…。
視界が涙で歪む。
準備室には戻れず、私は屋上に向かった。

