あれは、終業式の後。
放課後、学級委員をしていた私は
担任に頼まれた仕事をこなしていた。
私、園原 晴(ソノハラ ハル)。
私立の女子校に通う、高校1年生。
まぁ、明日からの長期休暇が終われば2年生になるのだけれど。
勉強、頑張らないとなぁ。
私の通う学校は、有名な進学校で偏差値も高いから。
少しでも気を抜いたら周りに置いていかれそうになる。
それでも頑張ろうと思うのは夢があるから。
医者になりたい。
私の夢。
私には2歳年下の弟がいた。
名前は、亜紀(アキ)。
今は中学生。
…生きていればの話だけど。
亜紀は、3年前に亡くなった。
元々心臓が弱くて、繰り返される入院生活。
亜紀と家で過ごした思い出はあまりない。
そんな苦しい生活の中でも、亜紀は笑って過ごしてた。
『運命なんだよ、きっと。』
亜紀が口癖のように言っていた言葉。
亜紀が笑うから、私も笑えた。
本当に大好きで、大切な弟だった。
私が医者になろうと思ったきっかけ。
たくさんの命を、助けたいと思った。

