先生と相合い傘したなんてバレたら、
追っかけの子達に殺されちゃうよ。
だけど、ちょっと優越感に浸ってる自分がいるのは、
やっぱり好きってことなのかな……。
教科書を読み終え、授業が進む。
彼氏いない歴=年齢の私。
好きって気持ちがいまいち分からない。
この気持ちが恋なのか
それとも、アイドルを好きになる感覚なのか。
それすらも分からない。
「園原ー聞いてるか?」
今まで、医者になるために必死だったからなぁ…。
アイドルとか、恋愛とか
興味を持ったことがなかった。
「園原ー?」
うーん…
もやもやする…。
気持ち悪いな。
「園原!」
…っ!
近くで名前を呼ばれて反射的に顔を上げた。
ぅわ………近っ……
すぐ目の前に先生の顔。
「な、なんですか?」
名前を呼ばれてたの、気付かなかった…。
「俺の話、ちゃんと聞いてたか?」
あれ、顔は笑ってる…けど
目が笑ってない!?
珍しく、怒ってらっしゃる……?
「すいません…。」
全っ然聞いてなかった…。
「放課後、雑用あるから。俺んとこ来い。」
先生は笑顔でそう言うと、授業を再開した。

