「晴…。」



ゆっくり近付いて晴を抱き締める。



「やっ……」



「晴、聞いて。お願い…」



「……………。」



強く抱き締めてそう言うと、大人しくなった。



無言を肯定と受け取って、



「さっきのは、誤解だから…」



俺は話を始めた。






---30分程前---



「はぁ……」



放課後の静かな校舎。



一人きりの国語準備室に俺のため息がやけに大きく響く。



今日は晴が学校を休んだ。



やっぱり俺のせいかな……。



「はぁ……」



ため息が絶えない。



あー、もう嫌だ。
晴に会いたい……。



だらしなく机に伏せると



コンコン



誰かが扉を叩いた。



「どーぞー。」



「失礼します。」



凛とした声。



顔を見なくても俺は誰が来たか分かってしまった。



「いい答えが出せたみたいでよかったです、湊先生…。」



クスリと意地の悪い笑顔を見せる。



「佐藤……」