「晴ッ!」
屋上に飛び込み辺りを見回す。
「……っ…」
驚いた表情で俺を見た晴は、やっぱり泣いていた。
「晴……」
「嫌っ!来ないで!」
近付こうとした俺から晴が一歩遠ざかる。
「先生なんて……大嫌い!」
泣きじゃくりながら晴が言った。
ズキンッ……
『大嫌い』って……。
まぁ、俺が悪いんだけど
結構痛いな、その言葉は……。
「晴、聞いて。さっきのは…」
「やだ聞きたくないっ…!どうせ先生は私をからかって楽しんでただけなんでしょ!?」
「ちが……」
「先生モテるし、女子校だから遊び放題だろうし、私なんて……」
そこまで話すと、晴はその場に泣き崩れてしまった。
俺は一体、なにをしてたんだ…。
こんなに泣いてる晴を初めて見た。
晴の不安を初めて聞いた。
いつも明るかった晴。
泣いてもすぐ笑顔になって、大丈夫って…。
そう言う晴を信じてたけど、
そんなの強がってただけで、本当は誰より弱くて脆いのに。
なんで俺は…気付いてやれなかったんだよ…。

