話終わる頃には私の顔は涙でぐちゃぐちゃ。
健吾は最後まで静かに私の話を聞いてくれた。
「私…っ、やっぱり先生が好き。でも、先生の夢を…邪魔したくないよっ…」
泣きじゃくる私に、健吾は優しく言った。
「晴は、どっちが大切なの?」
「え…?」
「先生の夢を応援するために、晴は先生を諦めるの?」
「だってそれは先生のためで…」
「そんな簡単に捨てられるような気持ちじゃないだろ?だからこんな泣いてるんじゃん。」
「じゃあ、どうしたらいいの…」
「今晴が俺に言った正直な気持ち、先生に伝えてみな?」
「でも…っ」
私が反論しようとしたら健吾によって遮られた。
健吾が私を抱き締める。
暖かくて、懐かしい…。
「晴…大丈夫だ。素直になれ。先生もきっと、真剣に応えてくれるから。」
耳元で優しく囁かれた言葉が、真っ直ぐ心に響く。
ゆっくりと健吾が離れて
「まぁ、ダメだったら俺んとこ来いよ。」
そう言ってニカッと笑った。
「……ありがとう。」
つられて私も笑うことが出来た。

