「あはははっ……あーぁ…。」



しばらく笑っていた佐藤は急に真顔になり



「選んで…」



と昨日同様、冷たく言い放った。



………選ぶ?



一体、何を………?



「園原さんの夢を守るか、自分の恋を守るか…。」



「どういうことだ…?」



はぁ……



佐藤は大きくため息を吐くとクスリと悪戯っぽい笑みを浮かべた。



「別れて下さい、園原さんと。」



はっきりとそう言った。



「何だって……?」



何を言ってるんだ…。



「別れてって言ったんですよ、先生。」




晴を手離したくないって、俺が言ったばかりじゃないか。



「それは…無理だ…。」



「なら、あたしだって嫌。真実を知ったらみんなどんな顔するかなぁ。クラスメイト、先生方、先生にフラれた子…。園原さんの夢も、叶わないかもね♪」



「なっ……、」



「別れてくれないなら、バラします。じゃあ先生、あたし用事があるので。」



佐藤は一方的に話を終らせて帰ろうとする。



「お、おい!待てっ………」



屋上から出るとき、佐藤は立ち止まって振り返った。



「どんな答えをだすのか…楽しみにしてますね…先生。」




佐藤の笑みが見えた瞬間、バタンッとやけに重たい音を立てて扉がしまった。