「先生は無神経過ぎます!ファンの子に睨まれちゃったじゃないですか…!」
「あー、そうか…。うん、悪かった。」
自分の悪いところがどんどん見えてくる。
結構刺さるな、悪いところ指摘されるって。
泣きそうになってる佐藤をなんとかなだめて本題を切り出す。
「昨日言ってた事、本当なんだよな?特別棟で俺と晴を見たって…。」
「本当ですよ。」
「…忘れてくれないか?」
「は…?」
佐藤は俺の発言に驚いたようだ。
教師として、晴の夢を潰すことは出来ない。
そのためならプライドなんて捨ててやる。
俺はゆっくり佐藤に頭を下げた。
「頼む…。そのことは、黙っていてほしい…。」
生徒に頭を下げるなんて、情けない。かっこ悪い。
だけど…俺は晴のためなら土下座だってする。もしもの時は教師だって辞めてやる。
「そんなに…園原さんが大切……?」
ありえないというような声で佐藤が言った。
「あぁ、大切だよ。誰よりも。だから手離したくないし、夢も叶えてやりたい…。」
「あ、はは…」
佐藤の渇いた笑い声が静かに響いた。

